「投資ポートフォリオ管理」の基本ステップ
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「投資ポートフォリオ管理」の基本ステップ

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スプレッドシートは、投資の管理をとても簡単にしてくれる便利なツールです。使い方を覚えれば、投資銘柄の記録や取引履歴の管理、ポートフォリオのパフォーマンス分析ができるようになります。この記事では、スプレッドシートを使って投資ポートフォリオを管理する方法をわかりやすく説明します。初心者でも安心して使えるように、丁寧に解説していきます。

投資ポートフォリオ管理にスプレッドシートを使うメリット

スプレッドシートを使うと、投資ポートフォリオの管理がとても簡単になります。データの整理や分析がしやすく、いつでもどこでもアクセスできるのが大きな利点です。また、無料で利用できるツールも多く、コストを抑えながら効率的に管理できるのも魅力です。

スプレッドシートを使った投資ポートフォリオ管理の基本ステップ

ステップ1: 初期設定と準備

まずはスプレッドシートを開き、投資ポートフォリオ管理用のシートを作成します。以下のようなカテゴリを設定しましょう。

  • 投資銘柄: 株式や債券、投資信託など、投資している銘柄を記録します。
  • 取引履歴: 投資の買い付けや売却の履歴を記録します。
  • ポートフォリオのパフォーマンス: 各銘柄のパフォーマンスを分析します。

ステップ2: 投資銘柄の記録

投資銘柄の記録はとても簡単です。各銘柄の情報をスプレッドシートに入力していきます。以下はサンプルのテーブルです。

銘柄名購入価格保有株数現在価格総投資額現在価値損益
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=F2-E2
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=F3-E3
投資信託C¥1,000300口¥1,200=B4*C4=D4*C4=F4-E4
セルB2に購入価格を、セルC2に保有株数を、セルD2に現在価格を入力します。セルE2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
セルF2には次の数式を入力します。
=D2*C2
セルG2には次の数式を入力します。
=F2-E2
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の情報も自動計算させます。

ステップ3: 取引履歴の管理

取引履歴の管理も同様に行います。取引ごとに情報を入力していきます。

日付銘柄名取引種類取引価格取引数総額
2024/01/01株式A購入¥10,000100株=D2*E2
2024/02/15株式B売却¥8,000200株=D3*E3
2024/03/10投資信託C購入¥1,000300口=D4*E4
セルD2に取引価格を、セルE2に取引数を入力します。セルF2には次の数式を入力してください。
=D2*E2
これらの数式を下にコピーして、他の取引の総額も自動計算させます。

ステップ4: ポートフォリオのパフォーマンス分析

ポートフォリオのパフォーマンスを分析するために、各銘柄のパフォーマンスをスプレッドシートで可視化します。

銘柄名購入価格保有株数現在価格総投資額現在価値損益
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=F2-E2
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=F3-E3
投資信託C¥1,000300口¥1,200=B4*C4=D4*C4=F4-E4
合計=SUM(E2:E4)=SUM(F2:F4)=SUM(G2:G4)
セルE5には次の数式を入力します。
=SUM(E2:E4)
セルF5には次の数式を入力します。
=SUM(F2:F4)
セルG5には次の数式を入力します。
=SUM(G2:G4)
これらの数式を使って、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを自動計算します。

投資ポートフォリオ管理に役立つスプレッドシートの機能

関数と数式

スプレッドシートには、多くの便利な関数と数式があります。例えば、SUM関数を使えば、簡単に合計を計算できます。

=SUM(B2:B4)

このように、B2からB4までのセルの合計を計算します。

条件付き書式

条件付き書式を使うと、特定の条件に合ったセルの書式を変更できます。例えば、損益がマイナスの場合にセルの色を赤くすることができます。

グラフとチャート

データをグラフやチャートで視覚化すると、ポートフォリオのパフォーマンスが一目でわかります。例えば、銘柄ごとのパフォーマンスを比較する棒グラフや、投資割合を示す円グラフを作成すると良いでしょう。

おすすめのテンプレートとサンプル

サンプル1: シンプルな投資ポートフォリオ管理表

以下のサンプルでは、投資銘柄、購入価格、保有株数、現在価格、総投資額、現在価値、損益を管理できます。

銘柄名購入価格保有株数現在価格総投資額現在価値損益
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=F2-E2
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=F3-E3
投資信託C¥1,000300口¥1,200=B4*C4=D4*C4=F4-E4
セルB2に購入価格を、セルC2に保有株数を、セルD2に現在価格を入力します。セルE2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
セルF2には次の数式を入力します。
=D2*C2
セルG2には次の数式を入力します。
=F2-E2
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の情報も自動計算させます。

サンプル2: 分散投資管理表

分散投資を行う場合の管理表です。各銘柄の投資割合も計算します。

銘柄名購入価格保有株数現在価格総投資額現在価値投資割合
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=E2/SUM(E2:E4)
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=E3/SUM(E2:E4)
投資信託C¥1,000300口¥1,200=B4*C4=D4*C4=E4/SUM(E2:E4)
セルB2に購入価格を、セルC2に保有株数を、セルD2に現在価格を入力します。セルE2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
セルF2には次の数式を入力します。
=D2*C2
セルG2には次の数式を入力します。
=E2/SUM(E2:E4)
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の情報も自動計算させます。

サンプル3: リスクとリターン分析表

リスクとリターンの分析を行う表です。各銘柄のリスク(標準偏差)とリターン(収益率)を計算します。

銘柄名収益率標準偏差
株式A=(D2-B2)/B2=STDEV.P(C2:C12)
株式B=(D3-B3)/B3=STDEV.P(C3:C12)
投資信託C=(D4-B4)/B4=STDEV.P(C4:C12)
セルB2に購入価格を、セルD2に現在価格を入力します。セルC2には収益率を入力する数式を入力してください。
=(D2-B2)/B2
標準偏差を計算するには、各月の価格データを列Cに入力し、次の数式を入力します。
=STDEV.P(C2:C12)
これらの数式を使って、各銘柄のリスクとリターンを自動計算します。

サンプル4: 株式投資パフォーマンス追跡表

株式投資のパフォーマンスを追跡するための表です。

銘柄名購入価格保有株数現在価格投資額現在価値収益率
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=(D2-B2)/B2
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=(D3-B3)/B3
株式C¥15,00050株¥14,000=B4*C4=D4*C4=(D4-B4)/B4
セルB2に購入価格を、セルC2に保有株数を、セルD2に現在価格を入力します。セルE2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
セルF2には次の数式を入力します。
=D2*C2
セルG2には次の数式を入力します。
=(D2-B2)/B2
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の情報も自動計算させます。

サンプル5: 配当収入管理表

配当収入を管理するための表です。各銘柄の配当収入を計算します。

銘柄名保有株数配当金総配当収入
株式A100株¥50=B2*C2
株式B200株¥30=B3*C3
株式C50株¥100=B4*C4
セルB2に保有株数を、セルC2に配当金を入力します。セルD2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の配当収入も自動計算させます。

サンプル6: 総合投資ポートフォリオ管理表

全ての投資を総合的に管理するための表です。各銘柄の総投資額、現在価値、損益、投資割合を計算します。

銘柄名購入価格保有株数現在価格総投資額現在価値損益投資割合
株式A¥10,000100株¥12,000=B2*C2=D2*C2=F2-E2=E2/SUM(E2:E4)
株式B¥8,000200株¥7,500=B3*C3=D3*C3=F3-E3=E3/SUM(E2:E4)
投資信託C¥1,000300口¥1,200=B4*C4=D4*C4=F4-E4=E4/SUM(E2:E4)
合計=SUM(E2:E4)=SUM(F2:F4)=SUM(G2:G4)
セルB2に購入価格を、セルC2に保有株数を、セルD2に現在価格を入力します。セルE2には次の数式を入力してください。
=B2*C2
セルF2には次の数式を入力します。
=D2*C2
セルG2には次の数式を入力します。
=F2-E2
セルH2には次の数式を入力します。
=E2/SUM(E2:E4)
これらの数式を下にコピーして、他の銘柄の情報も自動計算させます。セルE5には次の数式を入力します。
=SUM(E2:E4)
セルF5には次の数式を入力します。
=SUM(F2:F4)
セルG5には次の数式を入力します。
=SUM(G2:G4)
これらの数式を使って、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを自動計算します。

まとめ

スプレッドシートを使って投資ポートフォリオを管理することで、投資の全体像を把握しやすくなります。スプレッドシートの基本的な使い方から始め、関数や数式、条件付き書式、グラフなどの便利な機能を活用することで、より高度な管理が可能になります。

投資ポートフォリオ管理の基本ステップとしては、初期設定と準備、投資銘柄の記録、取引履歴の管理、ポートフォリオのパフォーマンス分析があります。これらのステップをしっかりと押さえておくことで、スプレッドシートを効果的に使いこなすことができます。

また、便利な関数と数式を使うことで、手間を省きつつ正確な計算ができ、条件付き書式を活用することで重要な情報を視覚的に把握しやすくなります。さらに、グラフやチャートを用いることで、ポートフォリオのパフォーマンスやリスクを一目で確認できるようになります。

最後に、おすすめのテンプレートとサンプルを参考にして、自分の投資ポートフォリオ管理に合ったスプレッドシートを作成しましょう。この記事で紹介したサンプルを基に、自分なりの工夫を加えてみてください。例えば、分散投資管理やリスクとリターン分析、配当収入管理など、目的に合わせた投資ポートフォリオ管理表を作成することで、より効率的に資産運用を行うことができます。

スプレッドシートを活用することで、投資ポートフォリオ管理が簡単になり、資産運用が楽しくなります。日々の記録を怠らず、定期的に見直しを行うことで、健全な投資管理が実現できます。

この記事を参考に、ぜひ自分の投資ポートフォリオ管理に役立ててください。皆さんの資産運用がよりスムーズで効果的になることを願っています。